1~2日で出荷、新刊の場合、発売日以降のお届けになります
〈内なる国際化〉が進む現代日本の病院や薬局で・警察や裁判で・役所の窓口や学校で。現場は日常どのような事態にあり、そこで何ができるのか。
医療通訳・司法通訳・行政通訳を3本の柱に、手話通訳、難民認定に関わる通訳、服薬指導やDV相談、災害時など有事のさいの通訳にも周到に目配り。全体像を建設的に提示する初の概論。
超音波検査で「はっきりとはわからないが女の子」と言われた妊婦さん。はっきりとは、の部分をしっかり訳せなかったために、一家は赤ちゃん用品を全部女の子用で揃えてしまった……放火事件の裁判員裁判で、被告人の母語の通訳人はいないので英語で通訳する。ガラスの割れるガチャンやバリンはさてどう訳す……市役所の相談窓口に受付終了まぎわにやってきた女性は、なかなか口を開かない。生活保護を受けたいのだとやっとのことで聞き出して、閉まりかかった庁舎の担当課へ同行する……
2012年の住民基本台帳法改正で、外国人は制度上も、住民票を交付される地域社会の一員として明確に位置づけられるようになっている。コミュニティ通訳の必要を裏づけるのは、基本的人権としての〈言語権〉の概念である。通訳がスムーズに成り立つには、通訳を使うユーザーの側、つまり言葉の壁のある外国語話者と、受け入れ社会の専門家の両方のユーザー教育が欠かせない。すぐれた通訳者養成のためには、社会人の学び直しのプログラム整備が急務であろう。通訳者教育はこれまで、外国語と海外文化の理解に注意が向きがちだったが、今後は特に、少数言語のわかる外国出身の通訳者が日本の社会と文化について知識を深められる場をつくるべきである。大学間あるいは教育機関と専門機関との連携に、さまざまの可能性を追求できる。――そうした積極的な提言に、本書は満ちている。
日々現場に立つ通訳実務者、通訳者を志す人、通訳・翻訳研究者、医療・司法・行政・教育・福祉等の専門家と関係機関、そして、多文化社会に生きる市民としてすべての人に関心をよせてほしい。危急の〈社会問題としての通訳〉。
よく利用するジャンルを設定できます。
「+」ボタンからジャンル(検索条件)を絞って検索してください。
表示の並び替えができます。