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損害賠償算定のうちでも、特に難解とされている分野の1つに休業損害と逸失利益の算定が挙げられます。事故に遭いケガを負って、やむを得ず休業しなければならない事態に陥った被害者の休業損害。あるいは不幸にも被害者が死亡してしまった場合、事故に遭わなければ将来にわたって得ることができたであろう所得の喪失。いわゆる、逸失利益の算定には、事故以前の被害者の所得に対する確かな裏付けが必要になります。所得の中には、賠償の対象となるものと、そうではないものがありますから、所得の内容把握はもちろん、それらの妥当性を担保する証拠が必要で、これらの資料がそろうことではじめて休業損害ならびに逸失利益算定の手続を進めることができるのです。
自動車保険、賠償責任保険における損害査定は、ますます複雑化する傾向にあります。その一方で、被害者救済の観点から、公正妥当かつ迅速に損害査定を行うことが強い社会的要請でもあります。本書が、この状況の解決に僅かでも役立ち、読者諸氏の参考に資することができれば幸いです。
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