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ここ数年来,心と体との結びつきや,体を使って心を癒したりその反対のことについて再び関心が高まって来た。体を動かすことが心や体に非常に良い効果をもたらすことはずっと以前から知られていた。同時に,個々人が自己表現をしたりコミュニケーションをする方法が必要であることはますます認められつつある。その証拠に,クリエイティブ・アーツ・セラピーだけでなく,体を動かしたり身体志向の新しい形のセラピーも急速に増え,脚光を浴びている。
本書は,多くの人びとが体を使った非言語による表現を必要としていること,そして,これらの必要性がダンス・ムーブメントセラピーの発達と共にどのように満たされて来たかについて取り扱っている。
この学問分野はダンスセラピーとかダンス・ムーブメントセラピーと呼ばれることが非常に多いが,その下位区分としての名前であるムーブメント精神療法,精神分析的ムーブメントセラピー,ユング派のダンス・ムーブメントセラピー,精神運動療法等とも呼ばれて来た。米国ダンスセラピー協会(ADTA)はこの学問分野を「ダンス・ムーブメントセラピー」と呼ぶ方針を掲げている。この学問分野において「ダンス」という名称と「ムーブメント」という名称が交互に使われるのは,「ダンス」という用語が意味する元々の概念に大きく由来している。「ダンス」という用語が使われると,それだけでは不十分な感じがしたり,当惑したりする人びとがいる。また,単に自分たちの思いや気持ちを表現するだけでなく,ダンスのステップを踏んだり,身体運動能力を見せなくてはならないのではないかと不安になる人びともいる。セッション中に見られる精神運動的表現は,形式的な意味でもまた非形式的な意味でもダンスとは似ていない場合がよくある。たとえば,手を伸ばす,握りこぶしを作って怒りを表す,子どもが象徴的に体を揺する,また,頭を少し傾げるということでさえもダンスセラピーの表現過程や探究過程の要素になり得る。「怒りのマンボ」「インスピレーションのチャチャ」「ダンスで憂さを吹き飛ばす」等とからかう人がまだいるかも知れないが,こういった固定観念は急速に消えつつある。今日,ダンスセラピーはその応用範囲が広く,その方法論や理論的基礎が数多く,精神保健のあらゆる分野に広がっている。
本書はダンスセラピーの発展について,そのはじめから現在の状況や方向性に至るまでの後をたどり,文章化し,まとめたものである。本書にはダンスセラピーという分野における理論的発展と実践的発展についての詳細な記事や,ダンス,心理学,身体志向的療法,非言語コミュニケーションなどについての研究から借用した重要な考えが掲載されている。事例報告も全編を通じて見られる。本書がダンスセラピーというダイナミックな学問分野とダンスムーブメントが持っている癒しの力について読者が深く理解する上での一助になることが筆者の希望である。
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