取り寄せ不可
サラは、親友夫婦の船舶旅行に同行していた。
ある島に寄港した一行の船の隣に、豪華なクルーザーが停泊する。
クルーザーの所有者は、ナポリ名門一族の完璧な貴公子らしい。
興奮ぎみな親友の言葉を、サラは聞くともなく聞いていたが、
夜のパーティに現れた男性を見て、言葉を失うしかなかった。
グイード・バルベリ――二度と会いたくなかった、かつての夫。
身ごもっていた子を流産すると、彼の父から手切れ金を渡され、
ぼろ屑同然に追い払われたのだから。泥棒猫とまで蔑まれて。
身動きできないサラに、彼の怜悧な美貌が平然と微笑んでいた。
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