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マティスは絵画のほか彫刻、挿絵、切り紙絵等、多方面にわたる活動で20世紀美術に個性的な歩みを示した。本書は画家の「芸術に関する文章と談話」のすべての集成で『ジャコメッティ 私の現実』とならんで読む美術書ともいうべく、ほとんどはじめて紹介される文章である。
感情と芸術表現、空間の表現、デッサンと色彩の葛藤、表現者と自然との同化、表現の記号、アメリカの都市空間と現代美術、オセアニアの光と地中海の光、中国や日本の画家の自然に対する態度、浮世絵から啓示をうけたこと、オリエント、ビザンチン、ロシア・イコン、プリミティヴ芸術、レジスタンス活動で捕えられた妻と娘についての心痛、闘病と仕事のこと、切り紙絵、彫刻、ヴァンス礼拝堂など多くが語られている本書はマティスを広い視野から見直すための大きな手がかりとなるだろう。
「白いカンヴァスの上に、青、緑、赤などの感覚をまき散らすと、一筆加えるごとに前に置かれたタッチはその重要さを失ってしまう。室内を描くとする――私の前には戸棚があり、実にいきいきした赤の感覚を私に与えている。そして私は満足のいくような赤を置く、この赤とカンヴァスの白との間にある関係が生まれる。そのそばに緑を置き、黄色で寄せ木の床を表現しようとする。そこでこの緑と黄とカンヴァスの白との間に私の気に入る関係が生まれるだろう。だが、これらのさまざまな色調はお互いを弱めてしまう。私が使ういろいろな記号はお互いを殺さないように釣合いがとれていなければいけない。そのためには私の発想を秩序立てねばならない……」――H・マティス
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