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ホブズボームの『資本の時代』は1848-75年を対象とした社会史的・文化史的記述であり、この時代の明確な歴史像は本書によって初めて提示されたということができよう。未知の思いがけぬ事例によって読者はたえず驚かされるが、それは著者一流の透徹した分析とともに、われわれに刺激を与えてやまない。
マルクス=エンゲルスの『共産党宣言』が刊行された1848年は、ヨーロッパ大陸を革命の嵐が襲った年である。しかし革命の後には、革命とは全く異なった原理に基づく世界、ブルジョアの経済と文化の君臨する世界が出現した。南米やアフリカにまではりめぐらされた鉄道、スエズ運河の建設、海底電線の敷設、陸続たる移住者の群れ、膨大な富の蓄積――この時代は産業資本主義が全世界に拡延し、ジュール・ヴェルヌの「80日間世界一周」がまさに可能となった時代であった。中国の太平天国の乱、日本の開国・明治維新、インドのセボイの反乱もこうした衝撃を背景にして考察される。
「ホブズボーム教授の叙述はすばらしい。プロレタリアートの運命を描く彼の筆の力はマルクスにも劣らぬほどである。一般的な領域を扱った歴史書で、これほど一気に読ませてしまう本は珍しい。……われわれ自身がかかえる問題の多くは、この時代に源を発している。本書をひもとけば過去に関するわれわれの理解が増すばかりでな現代世界についての理解も深まるのである。」(ジェームズ・ジョル)
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