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父と墓地に暮らす少年は、ある夜、男女の心中を目撃した。数年後、少年は死んだ男の娘を連れて列車の旅に出る。二人の眼に映る、敗戦下の日本とは。生を奪われた無数の子どもたちに想いを馳せ描く冒険譚。
単行本未収録「犬と塀について」併録
津島佑子に飛躍をもたらしたのは、
彼女が安吾の作品に見出した
「ひんやりとした、熱い風」である。
それこそが「兄」である。以後、
津島佑子はこの「兄」に連れられて、
オオカミ=遊動民の旅に出たのである。
――柄谷行人「津島佑子とオオカミ」より
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