組織的犯罪処罰法の一部改正案が、昨年、強行採決によって成立した。これによって刑法などに規定される犯罪の大多数について共謀罪が創設された。その処罰範囲は極めて広範である。さらに、多くの憲法研究者や刑事法研究者が反対意見で表明したように、犯罪の「計画」段階を処罰するもので、内心の自由や表現の自由を侵害するおそれがある。改正条文はたった数条であるが、政府答弁が迷走したように、その条文は複雑で理解するのは簡単ではない。本書は、共謀罪が適用されるおそれがある事例などを紹介しながら、国会議事録などを踏まえて、弁護実務の視点に立って徹底的に共謀罪を解説する。
第1部 共謀罪コンメンタール(徹底解説と弁護実務)………山田大輔
第1章 共謀罪総論
第2章 法6条の2第1項の共謀罪
第3章 法6条の2第2項の共謀罪
第4章 法6条の2第3項、第4項、及び第1項、第2項に共通する論点
第5章 証人等買収罪(法7条の2)
注組織犯罪処罰法別表第3(目的犯罪)・第4(対象犯罪)に掲げる罪
第2部 共謀罪の捜査と弁護
第1章 共謀罪の立証方法の特異性と捜査手法………小池振一郎
第2章 共謀罪事案に関する弁護のポイント〓〓初動段階から捜査機関に不当な証拠を作らせない活動を………加藤健次
第3部 共謀罪の問題点を徹底検証
第1章 共謀罪はテロ対策やTOC条約批准に必要だったのか〓〓政府の「立法事実」説明の変遷から検討する………平岡秀夫
第2章 日本における捜査・監視の実態と共謀罪………加藤健次
第3章 内心の自由・表現の自由と共謀罪………右崎正博
第4章 共謀罪に関する罪刑法定主義上の問題点………髙山佳奈子
第5章 成立過程も違法な共謀罪………山田大輔
第6章 国連特別報告者・人権条約機関から国際人権規約違反の指摘を受けた共謀罪〓〓カナタチ氏の日本政府に宛てた書簡を中心に………海渡雄一
第7章 アメリカ愛国者法と共謀罪………鈴木亜英
第8章 イギリスの共謀罪・対テロ法と日本の共謀罪〓民衆弾圧と監視の手段………清末愛砂
第4部 共謀罪反対運動の成果と今後の課題
第1章 共謀罪反対運動の経過と成果、今後の活動………米倉洋子
第2章 警察監視機関・国内人権機関の設置を………小池振一郎
コラム
共謀罪は、即刻、廃止すべきだ! ………桜井昌司
スノーデンの告発から考える共謀罪………小笠原みどり
コンスピラシーと労働運動………徳住堅治
治安維持法と共謀罪………内田博文
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