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〈はじめに〉より
はじめにお断りしておきますが、今日お話しするのは、発達障害の知識や発達支援の技法というよりも、発達支援にあたってのごく基本的な心構えや、支援に取り組む際のコツが中心となります。…発達の支援にもいろんなやり方がありまして、ここでお話しするのは、面接を中心とした支援のイメージです。面接というのは、どんな職種でも使う方法だろうと思います。いわゆるface to faceの、面接室や相談室あるいは診察室という設定の中で、発達障害の子どもを支援する、そうして、それだけではなくて、ケース全体の支援をどう進めていくか、そんなお話をします。それから、われわれ支援者が成長・発達していく、あるいは、スキルアップするためにはどのようにしていったらいいだろうか、というお話もしていきます。ここで、われわれ支援者がスキルアップするのは、われわれのためというよりは、ケースに利益を還元するためなのです。われわれがスキルアップして、ちゃんと役に立つ支援者になることで、ケースの人に利益還元をしていくことが目的なのです。そのような観点から、われわれプロフェッショナルとしてのトレーニングについてもお話ししていきたいと思います。
…さて、言うまでもありませんが、対人支援ができないと発達支援もできない。つまり、発達障害の支援の原則は、対人支援の原則とかなり重なります。ですから、まず対人支援の原則の話をしてから、発達支援の話をしていきます。
対人支援をするには、対人コミュニケーションも大切です。対人支援の前提として、適切な対人コミュニケーションが必要とされるのです。つまり、人と人とのコミュニケーションができないと対人支援はできませんし、発達支援もできない、ということになります。こんな当たり前のことを言うのは、それがちゃんとできていない専門家が少なくないからです。対人コミュニケーションがあって、対人支援があって、最後に発達支援がくるという、当たり前の流れを、しっかり意識しておいてほしいと思います。
〈推薦の言葉〉「ビックリ尽くしです。…中身は、現場大好き人間である広瀬さんの20年に渉る現場での体験からの、学びの実りです。他から学んだことも広瀬さんの心身を通過して「自身の体験」となっているものです。とはいえ、学びの実りの全てが開示されているわけではありません。…「支援・援助」についての「知恵・技術・心得」だけを隅から隅まで網羅しています。試みに開いてみるとその2頁に、今日・明日から役立つ助言が必ず見て取れます。しかも助言の内実は広瀬さんが到達・達成した境地だけでなく、目指し・努力し・工夫している姿を含んでいます。読んでいると富士登山において共に歩いている先達の導きを連想します。そこでの助言は、発達障害者や家族への支援に限らず、他の山を登る際にも自在に応用可能な技術です。「知識」は区別・差別へ導く力があり、支援技術は「ともにある」へ導く力があります。現場大好き人間の仲間として、この本の出版を幸せに感じています。」神田橋條治(伊敷病院)
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