取り寄せ不可
「これは、我々落語家のバイブル。生き様と心意気、歌丸落語が活字で楽しめます。」――三遊亭円楽師匠も大絶賛!
おかげさまで読者の方からも大反響、桂歌丸師匠の名作古典落語集の第2弾!
長屋に暮らす貧乏な夫婦の意外な思いつき(『尻餅』)、芸に打ち込む歌舞伎役者の物語(『中村仲蔵』)など、江戸を舞台にした、師匠とっておきの人情噺、滑稽噺を全8席収録。ネタのみどころ、裏話などを演目ごとに解説。落語への思いにあふれる桂歌丸、真剣勝負の一冊です。
【本文抜粋】
どうぞ一席お付き合いをお願い申し上げます。
すでにお客様もご存じと思いますが、最近はますます酸素吸入器が手放せなくなりました。管をつないでおりますと、鼻の周りがきらきら光りまして、いっそネオンみたいにしようかと考えております。歌丸、水っ洟を垂らしてんじゃないかとお思いの方もいらっしゃいますが、違うんです。これ、立派に息してるんです。
息苦しいうえに、歩くのもひと苦労。そんなこともありまして、舞台の袖から高座へは車椅子でお迎え、家から寄席の会場へは車でお迎えと、ああ、あたくしもその日が近いかと精進にも磨きがかかります。
周りの噺家連中もそろそろだって待ち構えているようで、こっちに断りなく葬儀の練習が始まっているようです。つい先日も、円楽さんが葬儀委員長になったからって楽屋に来まして、葬儀にお金をかけるのは馬鹿馬鹿しいですよ、最近はもっと簡素にエコにやるようになっていると言うんです。棺はいらないとか、霊柩車はリヤカーでいいとか、お経の練習を始めたとか。
それであたくしも、黙っていられずに言いましたよ。練習するならネタの練習をしろって。それからね、はっきり言ってやったんです。
「あたしはあんたより絶対先には死なないよ!」って。なんだったら、笑点メンバー全員の葬儀委員長をやらせてもらうつもりです。
この本は、ここ数年の高座の中から、お気に入りの演目を収めたものです。ネタは先代の師匠に頼んで譲ってもらったものもあれば、噺家同士で取り換えっこしたものもあります。
台詞を磨き、サゲを磨き、あたくしの頭みたいにピカピカにしてご披露申し上げます。高座でお目にかかれない皆様にも、お楽しみ頂ければ幸いです。(まえがきより)
【収録作品】
後生鰻、小間物屋政談、尻餅、中村仲蔵、長命、城木屋、質屋庫、ねずみの8 席
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