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忘れちまう罪は、嘘をつくより重いんだ──
別荘地で暮らす、初老の〝私〟は、嵐の日に庭に紛れ込んだ女から、降霊会に招かれる。
生者と死者が語り合う降霊会。
〝私〟が会いたいと念じたのは、小学校の時の友人、山野井清。
〝私〟は、ある理由から彼を記憶の片隅に押しやっていた──。
そして、〝私〟は、さらに翌日も再訪するように誘われる。
会わねばならぬ人、安保闘争が激化する青春時代に知り合った百合子に会うために……。
私たちは、戦後の急速な発展の中に、何を置き忘れてきたのか。
戦後という時代に取り残された者たちへの、心揺さぶるレクイエム。
「浅田さんの描く昭和の風景は、どれほど痛みに貫かれていたとしても、
いつもどこかあたたかい」──森絵都・解説より。
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