取り寄せ不可
スペインの病院で目覚めたとき、アラベルは記憶を失っていた。
見舞いに来たコルテスに夫だと言われても、何も思い出せない。
それどころか、地元の名士だという尊大そうな夫の顔は、
アラベルをひどく落ち着かない気持ちにさせるのだ。
だれかほかに愛した人がいたような気がして……。
連れて帰られた豪奢な屋敷で、コルテスに執拗に体を求められて、
否応なく甘美な夢を与えられるけれど、なぜかむなしさが募る。
ある日、夫の愛人と名乗る女性に、籠に入った鳥を見せつけられ、
アラベルは思わず悲鳴を?み込んだ。もしかしてこれが私なの?
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