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遣唐使船の船長だった阿倍船人(あべの・ふなびと)は、ある事件により朝廷より処罰をうけて草香津に逼塞していた。そこへ、七年ぶりに再会した兄・宿奈麻呂(すくなまろ)から新都造営の手助けをしてほしいと、打診を受ける。たった三年で、唐の長安に並ぶ新都を奈良に――これは朝廷一の実力者・藤原不比等(ふじわらの・ふひと)からの必達の命だった。失敗すれば大きな責任を問われる難事業だったが、白村江の戦い以来冷遇されてきた阿倍家再興を誓う兄を助けるため、船人は引き受けることに。行基衆の手助けなどもあり、着々と準備を進めるが、朝廷では遷都推進派と反対派の対立が激化。造営予定地の立ち退きを巡り、死者まで出てしまう。事件の黒幕について、船人はある疑念を抱くが……。
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