保険契約に関する法整備と契約者の保護などを目的する「保険法」の公布後10年を迎え、本書は、保険法が規律する生命保険と傷害疾病定額保険の契約について、基本的な法律知識と運用の実際を最近までの法改正や判例・学説の状況を踏まえて提供する生命保険法の基本書。
生命保険は、契約の募集から、締結、維持保全、支払、終了に至る長期間の継続を予定する契約で、本書では、そのような長期の時間的経過の中において生起する様々な法律的問題や事項を、保険法に準拠しながら簡潔に整理したうえで詳細に解説を行っている。
まず、生命保険契約の全体像は本書の「目次」を見ることによって概要を把握することでき、さらにその具体的な内容は、「第1章総説」「第2章生命保険契約の成立」「第3章生命保険契約の継続と異動」「第4章生命保険契約に基づく給付」「第5章その他の諸問題」「第6章傷害疾病定額保険契約」の全6章の構成立てにおいて、生命保険契約の仕組みや構成要件、保険法理論などの基礎的知識を解説する。
「第1章」は、保険法と保険契約制度全般について説明し、さらに、生命保険・傷害疾病定額保険契約の意義、構成要素、性質などを概説する。
「第2章」は、契約の成立に関わる法律的諸問題や保険契約の特質をなす「危険選択と告知義務」の内容、告知義務違反と契約解除などについて、様々な角度から掘り下げた解説を施す。
「第3章」は、生命保険料をめぐる様々な問題を中心に、契約者の変更や地位の承継、貸付金や返戻金、契約上の権利の処分など、契約の維持管理について検討する。
「第4章」は、保険金等の支払給付めぐる問題を扱い、さらに保険金受取人、履行、免責事由、詐欺取消しなど関連事項も詳しく分析・解説する。
「第5章」は、その他の問題として、モラルリスク、保険募集人の情報提供・説明義務、適合性の原則、等々、保険契約の適正な運営や契約者保護のためのシステムと理論を解説する。
最後に、本書題名にある「傷害疾病定額保険」の内容ついて、生命保険と共通する事柄は上記の各章解説の中で触れることとし、当該保険固有の問題については、「第6章 傷害疾病定額保険契約」において、高度障害保険金、入院給付金、生前給付型保険等の支払いや傷害保険の構造などまとめて説明をしている。
また、執筆に当たっては、解説項目の要所要所において最近までの判例を数多く紹介し、必要に応じて判決文や判旨も織り込んで説明を加えており、そのため、最近の判例の動向や考え方更には実務の実際を知る手掛かりにもなり、類書にはみられない本書の最大の特色となっている。
このように、本書は、生命保険業務に携わる関係者にとって実務と理論を兼ね備えた必携の教科書であり、また、新たに保険実務を担当するビジネスパースンや保険契約法を学ぶ人々とっては格好の入門書といえる。
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