1~2日で出荷、新刊の場合、発売日以降のお届けになります
「彼は、自分自身のいかなる〈イメージ〉にも耐えられないし、名づけられることを苦痛に感じている。理想的な人間関係というのはイメージのないことだと彼は思っている。つまり、親しいあいだでは、たがいに〈形容詞〉をなくすことである。形容詞をもちいて語りあう関係は、イメージの側に、支配や死の側にあるのだ。」(「形容詞」)
1975年に「永遠の作家叢書」の一冊として刊行された本書は、ただちに大きな反響と驚きを呼びおこすとともに、挑戦的ともいえる斬新な形式が読者を戸惑わせた。その衝撃と影響は大きく、少なからぬ作家が自伝的作品を発表するようになる。
それから40年以上がすぎた今、かつてバルトが提示した理論や形式は色あせた。だが、だからこそ、熟成した作品としての姿がくっきりと見えてきたのである。そしてこの作品がじつは革新的な文学の試みにほかならなかったことに気づかされる。
バルトのエクリチュールを包んでいた「イカの墨」が、時の効果によって消え去り、長いあいだ見えなかったその革新性が、ようやく読者の心をとらえるようになった。そうした変化に応じて、新たに翻訳され、精密な訳注をそなえた本書の出現は、ロラン・バルト体験を一新することだろう。
よく利用するジャンルを設定できます。
「+」ボタンからジャンル(検索条件)を絞って検索してください。
表示の並び替えができます。