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"知的思考の全史。ポストモダニズム、批判的地域主義、デコンストラクション、ミニマリズムまで、現代理論を批評的に要約した入門書。
マルグレイヴの著書はすでにModern Architectural Theory: A Historical Survey, 1973-1968 が日本語訳されている(『近代建築理論全史 1673 -1968』加藤耕一監訳、丸善出版、二〇一六)。この著書では近代建築理論を一七世紀のクロード・ペローまで遡り一九六八年までを通史として語っており、本書はいわばそれを引き継ぐ位置にあると考えられる。一九六八年で時代を分ける理由について、マルグレイブ自身は前書の「はしがき」や本書の「前奏曲」で、一九六八年を何より破壊的な政治的社会的事件が続発した激動の年と捉え、それが既成の建築理論に対して疑念を深める契機を作り、その後の建築理論の展開における文脈を根底から変化させたからだと述べている。
(中略)本書は一九六〇年代におけるモダニズムの状況から説き起こし、一九七〇年代から二〇〇〇年代まで時代を追いながら、多岐にわたる理論流派を丹念に跡づけて解説している。
その方法は、当事者の著書・論文および記録された言葉を丁寧に拾い上げ、裏づけながら叙述している点で実証的であり、その姿勢はなにより原注の豊富さに表れている。そして全体を通して、マルグレイヴ独自の視点から、多様な理論流派の相互関係を整理し系譜的に位置づけることで、過去半世紀の建築理論を新鮮なパースペクティヴのもとに提示している。またいくつかの主要な建築作品においては、具体的な作品分析にまで及んで建築家の設計意図を解説し、理論と実践の関係を照射している点で、単なる理論史にとどまらない近過去の建築史として読むこともできる。全体が一つの「大きな物語」として語られ、近過去がもはや歴史の一コマとして語られる時が到来したことを印象づけている。
(監訳者あとがきより)"
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