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本書は,Roy Sorensen著 A Cabinet of Philosophical Curiosities : A Collection of Puzzles, Oddities, Riddles and Dilemmas(Profile Books, 2016年)の翻訳である。
著者のロイ・ソレンセンは,ワシントン大学セントルイス校の哲学科教授である。原著の著者紹介は,次のように始まる。「ロイ・ソレンセンは,ケネディ大統領の演説原稿作成者であり友人でもあったテッド・ソレンセンの息子だとは,これまで一度も述べたことはなかった。なぜなら,それは真実ではないからである。」これを見て,この人はなんと正直な人だろうと感心された方は,本書をお読みいただくと同じように感心する話がゴマンと見つかるはずだ。一方,これを見て,この人は何をバカなことを言っているのだろうとあきれ返った方は,本書をお読みいただくと同じようにあきれるほどの楽しい話がゴマンと見つかるはずだ。
本書では,このようなソレンセン教授の蒐集した「教室の外で見つかる興味深い論理」が次から次へと紹介される。なんらかの関連のあるものが続くように並べられている部分もあるが,基本的にはどこから読み始めても楽しめる。そのような興味深い論理には,もちろん,スロバキアのハイ・タトラ山やローマのカラカラ浴場への旅行の際に蒐集されたものもあるが,家族や同僚との会話や,病院のポスター,そして,夢の中での出来事など,すぐ身近なことを発端とするものもある。さらに,ハリー・ニルソンやピーター・ポール・アンド・マリーなどの歌詞や,モンティ・パイソンやアボットとコステロのコメディーから蒐集されたものもある。
また,さまざまな文献から取り上げられた題材も数多くある。そのような文献の著者としては,古今東西の著名な哲学者だけに限らず,ルイス・キャロルやマーク・トウェインといった作家,スティーヴン・ホーキングやリチャード・ファインマンといった科学者,チャーチル首相やルーズベルト大統領といった政治家など枚挙にいとまがない。このような多岐にわたる文献の引用に加えて,言葉遊びや英語特有の表現に関する題材もあり,苦労しながらも大いに楽しんで翻訳させていただいた。
(訳者あとがきより)
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