福島核電事故を経たエネルギー転換

福島核電事故を経たエネルギー転換

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出版社
新評論
著者名
ペーター・ヘニッケ , パウル・ヨーゼフ・ヤーコプ・ヴェルフェンス , 壽福眞美
価格
4,180円(本体3,800円+税)
発行年月
2018年4月
判型
A5
ISBN
9784794810687

3・11福島核電〔原子力発電〕事故の原因、被害の全貌、そして賠償・除染(=移染)・廃炉の費用と行程…、これらのどれ一つとして、6年が経つ現在でも見通しが立たない。しかし、政府は核電の再稼働と輸出、核燃料サイクルの道を推進している。しかも、2014年政府発表の「エネルギー基本計画」は、輸入に依存する化石燃料中心のエネルギー政策であり、それと裏腹に、再生可能エネルギーの拡張については数値目標がないどころか、その買取価格を年毎に低下させている。
 だが、ウランと化石燃料に依存したエネルギー・システムは持続可能ではない。本書は、IPCC〔気候変動に関する政府間パネル〕やUNEP〔国連環境計画〕、OECDやIEA〔国際エネルギー機関〕、WWF〔世界自然保護基金〕やグリーンピースなど国際的な研究機関の報告を踏まえながら、現行システムの延長線上に50年、100年単位の未来を描くシナリオを徹底的に批判している。すでに自然生態系が許容する循環の枠組を大幅に超え(放射性廃棄物の貯蔵問題と気候変動問題を考えてみればよい)、さらに今後、新興国・開発途上国が工業国のエネルギー消費水準並になれば、生存の自然的基盤である惑星地球がもちこたえられなくなるのは自明である。
 人類と地球、そしてそれを支える多様な生物種が破滅しないためには、節約と効率化による資源・エネルギー消費の削減、再生可能エネルギーの拡張を柱とする「エネルギー転換」を実現するしかない。この点で、本書の分析の中心をなすドイツの先導的実践は、ヨーロッパ連合や東南アジア諸国連合などの地域圏、さらには世界全体のエネルギー転換において模範となりうるし、また実行可能といえるものであろう。だが、私たちがこれを成功させるためには、市民運動の発展や専門家の合意が決定的な役割を果たし、それを踏まえた運動と研究のネットワークの形成が重要になることを、本書ではとくに強調する。
 ウランと化石燃料なしの豊かな生活の創造、2050年のエネルギー・システムの構想―このドイツ・モデルは、日本ではまだ一部の人々の認識と実践に留まっている。「エネルギー転換」の世界的展望を示す本書は、私たちを勇気づける世界最高水準の比類なき研究である。(じゅふく・まさみ 法政大学教授)

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