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母さん、あの大仏をこわしてよ!
母を失くした居場所なき少年は、この世の権威を憎んでいた。その象徴をこわしたとき、男たちが作り上げた正史の余白から、いかなる物語が流れ出るのか。時空を超え、生死の境に降り立つ未踏の日本文学。
未収録短編「ヒグマの静かな海」併録
大仏を例えば「基地」なり「日本人」なり「原発」なりに置き換えれば、同じ構造が現代のそこかしこに存在している。
そして、存在しなかったことにされている生が、心情が、語られることのない物語として、聞こえない声で語り続けられている。
――星野智幸「声のかけらの氾濫」より
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