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「こんな苦痛を我慢しなくてはならない世界は嘘の世界ではないか。本当はこんな苦しい思いをしないでも、いくらでも楽に生きていける世界があるのではないか」と胃痛をかこちながらも欲望を抑えきれず、そば饅頭をつまんだ漱石、煎餅に柿十個、うどん八杯食べた「食欲の鬼」子規、お汁粉をこよなく愛した芥川龍之介、災難よけに毎朝梅干しを食べた泉鏡花、その日の献立が変わると不機嫌になった谷崎潤一郎……。文学作品からはうかがい知れない食いしん坊文士たちの生身の食欲を、家族、友人、弟子たちが愛惜を込めて綴るエッセイ集。
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