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朔太郎賞受賞作の断裂--
※萩原朔太郎賞受賞作『アストロノート』は、著者の当初の意向に基づいて本セレクションでは、『青猫以後』『アストロノート』『電波詩集』に3分冊しました。
二千十万年夏休み、男子高生の三人に一人が言語障害に陥るであろう
母音を失った彼らは「小鳥のさえずり」を一斉に始めるであろう
ポエジーとエレジーとバンジーが破局的に衝突する川面で美しいものがすべて砕け散るであろう
思い出や思い出や思い出や隠し通した欲望が!
そしてテクストの時代が終わる
おれはカンブリアの魚に誘われるように穴に入って行った
その穴
世界市民がめいめいに打つ絶望的読点のなかに
全ての窓辺からカーテンが取り外された日、おれは一瞬の鳥バードの溜め息を聞いたように思う
それはもはや若々しいものではなかった
(栞=寄稿:中原昌也、著者解題)
「現代詩手帖」に連載した短詩群。
この連載を企画した編集者は、
第一回が掲載された直後に思潮社を辞めてしまった。
ということは辞めることを決意しつつこの連載を企画したのであろう。
そこには何か意図があるはずだ。
私はこう考えることにした。
この連載は彼が対思潮社に仕掛けた時限爆弾なのだと。
たぶん嫌になることが山ほどあったのだろう。
よしわかった。任せとけ。
私はこの連載をどのタイミングで爆発させるかを考えた。
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