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日本中世社会に深く浸透し、影響を与えた密教。本書ではその中でも院政期から鎌倉期にわたる東密教学の形成と展開の過程について、台密教学との比較検討を通じて新たな知見を提示する。加えて、新出資料である温泉寺蔵『菩提心論開見抄』・身延文庫蔵「大乗義章抄」などから東密と禅の同一化、東密と南都教学(特に三論宗)の兼学化など、未だ研究の行き届いていない領域にも果敢に挑み、最後に「資料編」として、温泉寺蔵『菩提心論開見抄』と智積院蔵『秘宗深密鈔』の翻刻研究も収録した意欲作!
【本書の特色】
・宗学的見地から「東密」「台密」それぞれ別個の枠組みでとらえられてきた問題について、そういった枠組みを超えた「日本密教思想史」という包括的な視点から、東台両密間の思想的連動性に注目して検討。
・これまで研究が十分に進められていなかった東密と禅・南都教学との関係について、新出資料から詳細に言及。
・貴重資料の翻刻2本を収録。
【目次】
序 章
第一部 教主論をめぐる問題
第一章 済暹の教主義―安然説の受容―
第二章 五種法身説の検討
第二部五相成身観の考察
第三章 五相成身観の日本的展開―安然と済暹を中心に―
第四章 般若訳経典における五相成身観―安然説を中心に―
第五章 『五部心観』の五相成身観
第三部 成仏論の形成
第六章 済暹の密教行位説
第七章 重誉における機根の問題
第四部 東密と禅
第八章 『菩提心論開見抄』の検討
第九章 東密における禅―『菩提心論開見抄』を中心に―
第五部 東密と南都教学
第十章 『大乗義章』の修学について―論義関連資料を中心に―
第十一章 日本における『大乗義章』の受容と展開
第十二章 中世における密教と諸思想の交流―珍海を中心に―
付論 重誉撰『秘宗深密鈔』について
終 章
資料編
温泉寺蔵『菩提心論開見抄』二巻・翻刻
智積院蔵『秘宗深密鈔』三巻・翻刻
あとがき
索引
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