1945年8月15日、日本からの解放の日、朝鮮半島で人びとはなにを夢見ただろうか――。
朝鮮半島のほぼ中央に位置する街・鉄原(チョロン)。解放直後の混乱のなか、旧親日派勢力による不穏な事件が次々と起こり、街に動揺がひろがる。そんななか、事件の真相を探るために3人の若者が38度線を越えて京城(現ソウル)へと向かうが……。
同じ民族であっても、年齢や信念、階級によってそれぞれに「解放」がもたらす意味は異なった。
大地主のぼっちゃんながら身分のへだてのない世界を夢見る基秀(キス)、自分の父親を殺した地主の家で小間使いをしてきた敬愛(キョンエ)、京城へ行って自分を取り戻そうとする気高い両班(ヤンバン)家の娘・恩恵(ウネ)、奴婢(ぬひ)出身の越境屋・斎英(チェヨン)など、個性豊かな若者たちの夢が「解放」と同時に走りだす。
しかし、朝鮮半島を南北へと引き裂く大きな力が、彼らの運命を決してゆく。自分だけではどうにもならないきびしい状況に傷つきながらも、夢をあきらめない主人公たち。歴史の流れが冷徹な悲劇をもたらすが、それでも彼らの姿は希望の光の中にある。
韓国の実力派作家による、深く静かな感動を呼ぶYA小説の傑作長篇!【対象:中学生~大人まで】装丁:桂川 潤
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