戀愛譚

戀愛譚

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出版社
創元社
著者名
東郷青児 , 野崎泉
価格
2,640円(本体2,400円+税)
発行年月
2018年3月
判型
B6
ISBN
9784422930787

昭和を駆け抜けた
画家・東郷青児の
知られざる“文筆”世界

《生誕120年記念》

*

《夢か現(うつつ)か――》

少女の生態や恋愛をテーマに、
東郷青児の“ことば”がもっとも魅力的に綴られた
詩的で夢幻的な文筆作品を精選。

かつて発禁処分となった幻の著書から
厳選した珠玉のエッセイや小咄コント、
新たに発掘された単行本未収録原稿を含む
決定版、全38篇。
[解説:野崎泉]

*********

寄稿:小西康陽(音楽家)
「恋愛を人生の総てと考える人々」

*********


(収録作品より)

「東京の女」 東郷青児


暖炉の燃える暖い部屋で、
ゆつたりした部屋着を着て、
香りの高い珈琲を飲みながら
雪の音を聞いてゐるなんて、悪くない感じだ。
もつと考へなければならないことが
山ほどあるに違ひないけれど、
美しい女のひとを美しい枠の中に置いて、
美しくすることが男の義務でもある。
肩のぬけた浴衣を着て、
かたいふとんの中で震へてゐるやうな女が
この日本に居る限り、男よ、
偉さうな口を利かないで呉れ。
これからの建設は何よりも何よりも
女を美しくすると云ふ、
最終の目的に向つて進んでゆくことだ。
石炭も、米も、繊維製品も電車も汽車も、
住宅も道路も彼女たちを輝しく明るく
美しいままに美しくするための過程に過ぎない。
ああ、そんな日が早く来て呉れ。

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