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元来、神社仏閣や日本庭園巡りは年齢層の高い人たちの趣味とされてきましたが、
昨今ではSNSが身近になり幅広い世代が楽しんでいます。
そのなかでも1200年の歴史がある京都はこの町でしか見ることのできない景色がたくさん残っており、
そのひとつである日本庭園には様々な見どころがあります。
忙しい日常から離れて庭園を眺めていると、癒しやインスピレーションが得られるだけでなく、
庭園について知ることは、各時代の歴史や文化、価値観、庭園を造った人の思いを知ることに繋がります。
庭園には歴史、文化、芸術、造園など、すべてが詰まっているのです。
まるで庭園は生きたアートのよう。
季節によっても表情が変わりますし、昨日と今日でも感じ方が全然違うのです。
特に、庭園に配置されている庭石や植物には、美しさだけではない、そこから伝わる仏教思想と、壮大な宇宙観があります。
そんな日常からかけ離れた庭園イメージに触れてみたいと感じる人が多くなっています。
とりわけ、京都の庭園や寺院には、歴史的なストーリーとロマンがあります。
世界各国から多くの観光客が訪れる京都ですが、その中でも京都の庭園にふれると、
皆さんは、ホッという深いため息をつき、大きな感動を抱かれるようです。
多くの人に、そんなすばらしい京都の庭園を堪能してほしい。
本書では京都人庭園デザイナーの烏賀陽氏による、楽しみ方を紹介します。
■はじめにより
日本庭園には、さまざまな「しかけ」が隠されている。
それを読み解き、理解していくと、今まで気が付かなかった美しい景色が見えてくる。
それはまるで、庭に散りばめられた暗号のようだ。
しかけを知ると、日本庭園は美の宝庫であることに気付く。
そして日本人の美意識、知識、文化、技術が詰まった、芸術作品であることが分かる。
たとえば「蓬莱思想」を理解すれば、庭に隠されたしかけが分かる。
単なる石が不老不死の仙人が住む秘境の山になり、白砂が大海の景色に変わる。
鶴島や亀島も生き生きと見えてくる。
日本人にとって「長寿」というものがいかに尊い、おめでたいことであるかが、庭から理解できるのだ。
また庭を作った作り手の意図を知ると、庭はますます面白くなる。
権力者が己の力を誇示するためにわざわざ名石を庭に運ばせたり、自分の庭に川を流すために琵琶湖疏水を引き込んだり……。
そういったエピソードを知ると、庭がとても身近に感じられる。
庭から何とも人間くさい、作り手の想いが伝わる。
それらを知ると、今まで見ていた景色が一変する。
日本庭園の面白さはそこにある。
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