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走る豪華ホテル――そんな夢のようなオリエント急行の旅に出ることになったヘイゼルとデイジー。たてつづけに殺人事件に巻き込まれた娘をトラブルから遠ざけるため、ヘイゼルの父は娘とその親友を夏のあいだ旅へ連れ出すことにしたのだ。唯一の約束は「二度と探偵ごっこをしないこと」。だが、それもまた殺人事件に出くわすまでのことだった。実業家の妻が鍵をかけた寝台で何者かに刺殺された。容疑者は乗客の七人。推理小説家、伯爵夫人、実業家、霊媒師、マジシャン、覆面捜査官、メイド――全員が容疑者で現場は密室、それに事件はユーゴスラヴィアで起こった! 何もかも、一年前に刊行されたアガサ・クリスティの小説『オリエント急行の殺人』にそっくり。ところが、車内で捜査権を握ることになったのは、たまたま乗り合わせた新米医師。アマチュア探偵としてかつぎだされた彼のお粗末な推理を聞くたび、ひそかに少女探偵たちの捜査は熱が帯びていく。子どもが首をつっこむことをよく思わない大人たちの目を盗み、問題集を解くふりをしては容疑者をリストアップ。そしてたどりついた犯人は……!?
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