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精神科医医療における強制的入院制度である措置入院との関係や、犯人の思想・信条と社会関係の複雑な構造との関係など、多くの困難な課題に挑む現場からの実践レポート。
2016年7月26日、神奈川県相模原市の障害者支援施設津久井やまゆり園において19人の障害者が元介護職員によって殺害されるという世界を震撼させる事件が勃発した。いわゆる「相模原事件」である。いまだに事件の全貌が判然としないが、「生きるに値しない生命の抹殺」という事件の特異な性格は、さまざまな領域に大きな影響を及ぼしている。
医療にかかわる精神科医は国の方針によって治安の道具として利用されたかつての精神医療が気になる。しかし、相模原事件が私たちに問うているものはそれだけではない。今回の事件をヘイトクライムと捉えるべきだという論者は少なくない。もちろん未だに生きている優生保護法とその思想の問題として考えざるを得ない。優生思想は決して私たちの思考から遠くにあるものではない。医療者にとっては安楽死や尊厳死は日常的なテーマであり、これらのテーマは優生思想の近くにあるはずだ。
被疑者の歪んだ思考の背後にある私たちの日常的常識は、被疑者の歪んだ考え方と無縁ではない。被疑者の思考が作り上げられていくとき、彼の眼には彼の前に居る入所者や私たちたちがどのように映っていたのか。相模原事件は始まったばかりである。
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