出版社よりお取り寄せ(通常3日~20日で出荷)
※20日以内での商品確保が難しい場合、キャンセルさせて頂きます
「あら、もどってきたの?」
雲の上で女の子の天使は尋ねた。
下界へ行って、すぐに帰ってきた男の子の天使は、深呼吸をひとつすると話し始めた。
「うん、ぼくのお兄ちゃんまだ生まれたばかりなの、元気そうなお母さんだからさ・・・」
「元気そうなお母さんだからどうしたの?」
女の子の天使はせかすように羽をパタパタさせた。
「お母さんのおなかの中に入ったんだ、ぼく。そうしたらさ、『あなたは産めないわ、仕事はもうこれ以上休めないし、それに、あなたを、いいえ、生まれて3ヶ月しか経っていないこのぼうやですら、どうやって育てたら良いか分からないの。だから・・・だから・・・ごめんね、ごめんね・・・』そう言って、お母さん、体も心も傷つけながら、ぼくを天界にもどしちゃったんだ」
「そうだったんだ・・・」
女の子の天使は悲しそうにうつむき、下界を見た。
(あのお母さん、ずいぶんがんばっているみたい。あれじゃ心も体も潰されそう。なんとか助けないと)
女の子の天使は、次に生まれる番までまだ何年もあったのに、神様にお願いした。
「どうか半年後に、あのお母さんのおなかの中に行かせてください。あのお母さんの子になって助けたいのです」
― 本文冒頭部より ―
よく利用するジャンルを設定できます。
「+」ボタンからジャンル(検索条件)を絞って検索してください。
表示の並び替えができます。