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過去50年の間で,生態学の概念には革命が起こった。地球上に存在する生き物は,種のためではなく,自分自身(≒自己の遺伝子)のために生きているという考え方への変換である。その結果,動物たちの振る舞いについて「利己的遺伝子」という考え方を基礎として全てが論理的に説明できるようになった。学問のこのようなダイナミックな発展は,チョウの生態学研究の歴史においても辿られた。むしろ,チョウの生態学が,このダイナミックな発展を促す一助になったと言っても過言ではない。
本書では,一見のどかに見えるチョウの生活史の記載から,吸蜜における花との駆け引きを通じて,成虫の振る舞いの目的が自己の子孫の増加であることを示す。雌雄の最終目標である交尾の成功へ向けた雌雄の手練手管は如何に? その解明に向かっての一歩一歩を追体験する。
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