闇の牛王
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3世紀初頭、弥生時最後期。「倭国大乱」と呼ばれ、長く戦いの中にあった瀬戸内海沿岸部も、そのころになると、わずかながら平和な日々が続いている。その集落のひとつ、ウクイ村も一見穏やかな春を迎えていたが、村の秘密を知る大人たちの間には暗い影が差していた。卑弥呼のおさめる女王国に従わず、近隣諸国から税を取り立てるクナ国は、過去のある出来事を盾に、数年置きに生口(奴隷)として少年少女をさらっていく。一度クナ国に連れられた者は、二度とウクイの土を踏むことはなかった。今年がその年。十二歳となった少年ススヒコは、幼馴染の少女ツナテが生口に選ばれたことを知り、自らも名乗りをあげ、クナ国へ向かう。
一方、中国(後漢)から卑弥呼の元をたずねた使者・公達は、卑弥呼から意外な依頼を受ける。それは、クナ国の暴君にして自身の弟、ハヤスサの討伐だった……。
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