取り寄せ不可
“君のキスや愛情で、僕は息がつまりそうだ……”
6年前、愛する夫ラスが別れぎわに言い放った言葉を、
今日もアプリルは胸の痛みとともに思い出していた。
天涯孤独の彼女にとって、結婚生活は初めて知った幸福だった。
それなのにラスにはその愛は重く、若い彼女をおいて去ったのだ。
物思いに耽るアプリルの前に、そのときトラックが飛び出し――
頭を強打した彼女は、目覚めると記憶の一部を失っていた。
やがて病室に、知人だという、見知らぬハンサムな男性が現れる。
アプリルは彼を見つめた。まさか自分を捨てた夫だとは思わずに。
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