取り寄せ不可
近代日本の日記文化論へ向けて、ここからはじめる。
虚実が入り混じり、読み手の解釈によりさまざまな相貌を見せるうえに、書き手が想像しなかった意味をも見出すことができるテクスト、日記。本書は知られざる他者の手による無数の日記に向き合うことで、多数の新鮮な「問い」の磁場を発見し、分析していく。
果たして人々は、日記をいかに書き、書かされ、書き遺してきたか―。
歴史学、文学、メディア学、社会学、文化人類学等、多数のジャンルの研究者たちにより、近代日本の日記文化を、史料・モノ・行為の三点を軸に明らかにしていく。
執筆は、柿本真代/河内聡子/新藤雄介/中村江里/川勝麻里/大野ロベルト/中野綾子/康 潤伊/堤ひろゆき/徳山倫子/磯部 敦/高 媛/大岡響子/宮田奈奈/西田昌之/松薗 斉/島利栄子(以上、執筆順)。
【本書を手に取る全ての方々へ。本書全体を通じて検討したのは、史料・モノ・行為の三点を軸に、近代日本の「日記文化」の実態の一端を明らかにすることであった。それは本書の副題に即して言えば、人々はいかに書き、書かされ、書き遺してきたかという大きな問いを一歩一歩検証するための各論的考察であったとも言える。しかし、「いかに」の問いの検証が遂に明らかにしえないのは、本書の特別対談でも話題になったように、人は「なぜ」日記を綴るのか―すなわち人間の書くことの欲望は何に由来するのかという根源的な問いである。人はなぜ、過去から現在に至るまで、そして未来においても、自己に関わる出来事を、のみならず自己の内面を言葉に托し、書き留めるのか。「書かされた」としてもそこに潜在する書くことの欲望を支えるものは何か。根源的であるゆえに容易に答えがたいこの問いに、本書を読む一人一人が考えを及ぼして下さることを期待する。本書で検討した「いかに」の事例が、そのための縁として役立つとすれば、望外の喜びである。】……「あとがき」より
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