詩人調査

出版社よりお取り寄せ(通常3日~20日で出荷)
※20日以内での商品確保が難しい場合、キャンセルさせて頂きます

出版社
航思社
著者名
松本圭二
価格
2,860円(本体2,600円+税)
発行年月
2017年12月
判型
四六判
ISBN
9784906738311

詩の生成、詩人の誕生――



小説家志望の青年が詩を書きはじめるまでを綴った「あるゴダール伝」。

元タクシードライバーの詩人で、かつてはテロリスト志望だったと思しき男が、

PCモニター上に現れた宇宙公務員の質問に答えていく「詩人調査」。

詩とは何か、詩人とは何か、そして詩人にとって詩とは何かを描く2篇。

(栞=寄稿:金井美恵子、著者解題)





では、『海を見に行け』は不発弾だったのか。

それはまだわからない。

ひょっとしたら、それを偶然手にした一人一人の読者の内部で、すでに小爆発を起していたかも知れない。

そして彼自身や彼の友人や恋人を海に連れていったかも。

しかし、その程度の爆発で権田さんが満足するはずもない。

20年後の今でも、『海を見に行け』は東京の古本屋の暗がりで大爆発の時を待っているはずだ。

――「あるゴダール伝」



わたしはね、東京では結局、一度も海を見ていないんです。

不思議ですよね。

海は近くにあるはずなのに、うんと遠い気がしていました。

ですから『海を見に行け』という詩集には、

便所に流したニョロニョロが下水を渡って海に出るというイメージが色濃くあったかも知れない。

あるいは神田川に棄てた『チェーホフ爆弾』がどんぶらこと流れて

海まで運ばれていくイメージとか。

――「詩人調査」





※「詩人調査」は文芸評論家・斎藤美奈子さんが朝日新聞で、2010年小説ベスト3の一作として選んだ作品です。

お気に入りカテゴリ

よく利用するジャンルを設定できます。

≫ 設定

カテゴリ

「+」ボタンからジャンル(検索条件)を絞って検索してください。
表示の並び替えができます。

page top