本書では、フロイトの鍵概念そして精神分析を原著者カーンが自らの長年の臨床経験に基づいて説明する。フロイトの考え方に基づきつつ、フロイト以降の知見も適宜紹介され、今に活きる精神分析のありようを鮮明に伝える。フロイトや精神分析に関する本は幾多あるが、この本は単なる解説書ではない。原著者カーンが、フロイトと精神分析の考え方や鍵概念を自分の臨床実体験を通じて噛み砕いて消化し、言わばフロイトと対話しながら自分のことばで記述し、たくさんの事例に沿って説明する。それゆえに本書はわかりやすく、McWilliamsに「とても読者にやさしい」と言わしめた。元より、フロイトと語り、フロイトを咀嚼する幾多の先達を通じて、精神分析の叡智は生き続け、更新され、洗練され続けてきた。この本はその営みを教科書として私たちに提示してくれる。
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