公衆衛生学の授業は医療関連学科に始まり、食品や栄養の学科に至るまで、極めて広範囲にわたって、現在教えられている科目である。公衆衛生学が教える内容は人々が集団として生活を送るために、個人が最低限度守るべき事柄を網羅したものである。さらに、公衆衛生学は現状の生活をどのように改善すれば、より健康でより幸福な生活を送ることが可能であるかも教えている。
公衆衛生学の真の姿はヒト集団において、健康とは何かを探求する学問でもある。具体的には、最近のインフルエンザAの流行において、報道機関の説明が曖昧である。例えば、ワクチンを打てば、インフルエンザAの感染から免れるかのような報道がなされている。公衆衛生学は過去の人類の歴史から、インフルエンザAの流行に、今どのような対策が必要不可欠であるかを教えている。つまり、公衆衛生学は一般の人々に研究レベルの内容を啓蒙する学問でもある。
公衆衛生学は医学部、薬学部、獣医学部、看護学部、栄養学部、理工学部などの学部間において、その授業内容には相違はない。また、文系理系を問わず、全学生に必須な科目とも考える。特に、文系の学生には、WHOの公衆衛生活動、労働衛生、環境衛生、医療制度、感染症などに関する一般的な知識も得てほしい。すなわち、公衆衛生学はヒト集団の健康・幸福を常に探求する学問であるからである。
本書は図を多く使い、できるだけ平易に解説したものである。本書の資料となったものは国民衛生の動向はじめ、朝日新聞、既刊の公衆衛生学の教科書などである。本来はすべてを網羅して御礼を捧げる予定でしたが、余白が少なく、お許し頂きたい。
管理栄養士の国家試験問題を主体に解説しているために、その国家試験対策用としても利用できる。本書を使用して下さった先生方には、本書の内容をそのままスライド(パワー・ポイント)で講義できるCDを準備している。このCDは、各先生の専門性に合わせて変更も可能な状態で提供する。
公衆衛生学の領域すべてを専門にしている先生方は少なく、本書の著者らもその例に入ると考える。著者らは、医学、薬学、獣医学、栄養学の出身者であるが、公衆衛生学の全領域を網羅して、出来るだけ広範囲に教育できる内容に心掛けた。本書をさらにより良い内容に育成するために、先生方からのご批判とご叱正をお願い申し上げたい。
最後に、本書のまとめの労をとって下さったBookWay社の皆様に厚く御礼申し上げます。
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