取り寄せ不可
ある夜、ピッパは車の接触事故に巻き込まれてしまう。
対向車から降りてきた男性を見て、彼女ははっと息をのんだ。
ランダル! ピッパの胸が疼いた――もう4年も経っているのに。
彼は当時勤めていた会社の社長で、ピッパは彼を心から崇拝していた。
妻子がいると知ったのは、彼に恋をしていると悟ったあと。
罪悪感に苛まれたピッパは即座に会社を辞め、姿を消した。
彼は逃げ出そうとしたピッパを追いかけてきて言った。
「ぼくはもう、結婚していない」
いいえ、違うのよ――ピッパは皮肉な運命を呪った。
ランダルを忘れるため、別の男性の求婚を受けたばかりだったのだ。
2000年秋に惜しまれつつこの世を去った後も読み継がれている作家シャーロット・ラム。年の差や、許されない者どうしの恋など、切なさや男女のすれ違いを書かせたら右に出る者はないと言われた彼女の遺作を、どうぞお見逃しなく。
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