吸着の科学、反応機構・反応速度論からファインケミカルズ合成触媒、環境・エネルギー関連触媒、キャラクタリゼーションまで基礎と応用のバランスが秀逸。最前線の著者陣により触媒の真髄がわかる。最高の教科書が誕生。
本書は触媒について基礎から応用までていねいに解きほぐした教科書です。
全体を通して、触媒化学のおもしろさを知ってもらえるようなつくりを心がけました。
「第1章 触媒・触媒化学の歴史」では、まず「触媒とはなにか?」ということを理解するために、触媒概念の確立までの歴史を紹介した後、触媒の分類など基本的事項について解説します。
「第2章 化学産業と触媒プロセス」では、触媒の産業における位置づけや、触媒の調製法、触媒反応器の特徴、触媒劣化など触媒反応を操作するときの実際的な問題について触媒反応工学的観点から詳述しました。
「第3章 触媒反応の反応機構および反応速度論」では、基本的な道具として、主に熱力学、反応速度論に基づく基礎概念について解説しました。
「第4章 石油精製プロセスおよび石油化学プロセス」では、原油の精製とそれから導かれるバルク製品の製造プロセスについて概説しました。
「第5章 工業触媒」では、現在稼働している工業プロセスにおける代表的な触媒プロセスに対してスポットを当て、その反応機構なども含めて詳述しています。
「第6章 ファインケミカルズ合成触媒1:不均一系触媒」および「第7章 ファインケミカルズ合成触媒2:均一系触媒」では、高機能性製品であるファインケミカルズの製造に用いられる化学反応について、現在進行形のものも含めて解説しています。
「第8章 環境触媒」では、環境触媒を扱っています。環境触媒は廃棄物を清浄化するものと考えられていますが、汚染原因となるものを原料の段階で除去する役割もあります。
「第9章 エネルギー関連触媒」では、エネルギーとエネルギー貯蔵という観点から、燃料電池、バイオマスを特に強調しています。
「第10章 光触媒」では、本多─藤嶋効果からペロブスカイト太陽電池まで、幅広く解説しています。
「第11章 触媒のキャラクタリゼーション」では、触媒の分析・解析(キャラクタリゼーション)手法および計算化学に関して豊富な具体例とともに解説しています。
目次だけを見ると各論の集まりのように感じられるかもしれませんが、それぞれが基礎と同じ土台の上に築かれたものであることがわかるように企図しました。触媒の真髄がわかる最高の教科書です。自信をもってお薦めします。
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