詩集工都

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出版社
航思社
著者名
松本圭二
価格
3,520円(本体3,200円+税)
発行年月
2017年11月
判型
四六判
ISBN
9784906738267

数奇な軌跡をたどった詩集――



  ライラック号で来る

  虚言使いの夏あり



  室内からの廃風につつまれて

  夏がうだる

  羽虫たちはハイウェイの上空に集まり

  死んだ



  プラント

  防波堤に沿い

  巨人たちが倒立する

  死んだ風を呼び

  もう一度殺す



  イノセンス

  工都の闇に護られ

  〝私の家族は

   鉄を食べていた〟



(栞=寄稿:佐々木敦、著者解題)



私は第2詩集の製作の一切を

自らのコントロール下に置きたいと望むようになり、

郷里四日市での土建屋の仕事を逃げ出し、七月堂に押し掛けた。

そこで働きながら詩集を作ろうとしたのだった。

自分の詩集のことしか頭にない私は、遅刻や欠勤を繰り返し、

ひたすら来るべき書物の姿を追い求めた。

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