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数奇な軌跡をたどった詩集――
ライラック号で来る
虚言使いの夏あり
室内からの廃風につつまれて
夏がうだる
羽虫たちはハイウェイの上空に集まり
死んだ
プラント
防波堤に沿い
巨人たちが倒立する
死んだ風を呼び
もう一度殺す
イノセンス
工都の闇に護られ
〝私の家族は
鉄を食べていた〟
(栞=寄稿:佐々木敦、著者解題)
私は第2詩集の製作の一切を
自らのコントロール下に置きたいと望むようになり、
郷里四日市での土建屋の仕事を逃げ出し、七月堂に押し掛けた。
そこで働きながら詩集を作ろうとしたのだった。
自分の詩集のことしか頭にない私は、遅刻や欠勤を繰り返し、
ひたすら来るべき書物の姿を追い求めた。
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