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明治における〈近代〉の実態を探る。
江戸以前の「知」、海外から流入してくる「知」――。
明治期、活字メディアによる情報革命の中で、多様な「知」はさまざまに錯綜し、新たな言説は生み出されていくこととなった。その過程の総体を、山田美妙から明らかにしていく書。
ある時代の言葉は、どのように運用、共有され、新たな文化として再編成されていくのか。目の前にあるテクストだけを精読しても読み取ることのできない領域が、言葉には張り巡らされている。山田美妙は言葉とどう格闘し、そこでは何が起こっていたのか。
この時期の「知」のあり方と「文学」「小説」との関わりについて考え、「文体」や「文法」の問題、そのときに用いられる言葉が持つ概念、言葉が文章として構造化されたときに表現される「思想」がどのように捉えられていたのかついてを考えていくことで、日本の〈近代〉の実態を炙り出す。
【本書ではまず、山田美妙のテクストをもう一度読み直す基礎的な作業から出発している。その際、草稿類も含めたそれぞれのテクストの中に見られる具体的な表現や、思考の形跡について、それらが同時代に編成されていた言説や、西欧から入ってきた言説から見た場合にどのように位置づけられるのか、諸言説との差異と共通性とがどのように生じ、その差異と共通性とに日本の〈近代〉についてを考える上でどのような意味があるのか、分析、考察を進めていきたい。これは言い換えれば、日本の〈近代〉が生み出されていく中で、一人の人間が言葉とどのように格闘し、そこで何が起きていたのかを明らかにすることによって、日本の〈近代〉がどのような様相を呈していたのかを、より広い視座で考えていこうとする試みである。】……序章より
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