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ヨハン・ゴットフリート・ヘルダー(1744-1803年)が残した歴史的名著(1772年)、待望の新訳。一世を風靡した「言語神授説」に抗い、言語は神が創造したのではなく、人間がみずからの力で作り出したことを証明するべく格闘した、生々しいドキュメント。ヘルダー自身による手稿最終稿に基づいた初の日本語訳を、やはり初めてとなる文庫版で送る、まさしく決定版の名にふさわしい1冊がついに登場!
本書は西欧思想に燦然と輝く古典的名著、待望の新訳である。
著者ヨハン・ゴットフリート・ヘルダー(1744-1803年)は、ケーニヒスベルク大学に学び、イマヌエル・カントやヨハン・ゲオルク・ハーマンの影響を受けつつ、独自の思想形成を遂げた。リガやヴァイマールなどで牧師を務めながら、哲学、歴史、文学、芸術にわたる広大な領域をめぐって執筆活動を展開し、数多くの著作を後世に残したことが知られる。中でもヘルダーの名を高からしめたのが、本書『言語起源論』(1772年)にほかならない。
ここで扱われているのは、ヨーロッパの歴史の中で星の数ほど現れてきた「言語の起源」の問いである。ヘルダーがこの問題を取り上げた背景には、ベルリンの王立学術アカデミー会員ヨハン・ペーター・ズュースミルヒ(1707-67年)の存在があった。ズュースミルヒは、1756年に行った講演『最初の言語が人間でなく創造主のみにその起源をもつことを証明する試み』の中で、言語は神によって創造された、という「言語神授説」を唱え、大きな反響を巻き起こした。しかし、これはルソーやコンディヤックなどフランスの啓蒙主義を高く評価するアカデミーでは、人間の理性を軽視することにつながる見解として問題視される。
そこでアカデミーは、1771年1月1日を期限として懸賞論文を募集するに至った。その設問は以下のとおりである。
「人間はその自然な能力に委ねられて自ら言語を発明することができたか。また、どのような手段で人間はその発明に到達するか。この問題を明快に説明し、すべての難点を満足させる仮説を求む」
──かくして最優秀賞に選ばれたのが、ヘルダーの『言語起源論』だった。
アカデミーの設問に対して、ヘルダーはどのような回答を示したのか? そして、「言語神授説」を退け、言語は人間自身が生み出した、という証明ははたして成功したのか?
ヘルダー自身による手稿最終稿に基づいた初の日本語訳を、やはり初めてとなる文庫版で送る、まさしく決定版の名にふさわしい1冊、ついに登場!
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