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数ある高校生の全国大会、通称「◯◯甲子園」のなかでとりわけ異彩を放つのが、大雪山の麓、東川町で毎年開催されている「全国高校生写真選手権大会」、通称「写真甲子園」(24回目)だ。全国500校以上が各ブロックの初戦に応募し、審査を経て18校が本戦出場校として選ばれる。出場校となった各チーム3名の選手と監督(教師)が東川町に招待され、3日間の本戦を戦い抜く。
写真コンテストというと、応募作品だけを見比べて優劣をつける静的なイメージがあるが、「写真甲子園」の本戦はまったく異なる。「風土」や「かけがえのないもの」といったテーマが与えられ、北の大地を汗だくになって駆け回り、選手たちは8枚の組写真を撮ることになる。撮影機材は各チームに同じものが貸与され、初戦で許されていたデジタル加工はおろか、トリミングすら本戦ではNG。その過酷さ、まさに「カメラ版トライアスロン」。
プロの写真家による公開審査がまた厳しい。特に、審査委員長を務めている立木義浩氏の「そんな中途半端な気持ちなら、もう来ないでもらいたい」といった酷評に、毎回泣き出す選手が出てくる。つまり、審査されるのは作品だけではなく、作品を通して現れた撮影者の「人間性」となる。高校生にそれを要求するのは酷というものだが、それだけに様々なドラマが生まれる。
こんな高校生たちの成長ドラマを、ドキュメンタリーのような撮影手法で映画化されたのが『写真甲子園 0.5秒の夏』。若い俳優たちは、実際の本戦と同じように自ら写真を撮り、プレゼンの文句を考え、そして公開審査でこてんぱんにダメ出しを食らう(演技ではなく、本当に泣き出した俳優もいる)。
小説では、映画で描かれなかった裏側に厚みをもたせるとともに、写真の評価についても文章化することにした。誰もが簡単に写真が撮れる時代、高校生たちが作品制作に情熱を傾ける気概を伝えたい。(かしべ・ろく)
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