ロング・リリイフ

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出版社
航思社
著者名
松本圭二
価格
2,750円(本体2,500円+税)
発行年月
2017年9月
判型
四六判
ISBN
9784906738250

朔太郎賞詩人の幻の第1詩集。





  そうして僕らは 鮮やかなアクリル質の皮膜のなかで 日々の没落を暖めていた

  その腐敗物は

  恋人の夢の彼方で匂っている

  熟れ落ちた柘榴なのだろう

  僕はシオカラトンボの飛行に誘われるまま ぬるい湿林に嵌まってしまう

  切り取られた空のゆるまりのなかで なおもゆるまってゆく

  柘榴

  親密な体臭に絆された?愛の白雲がひかれてゆく ぬるく ほとばしる



  絨毯爆撃がしたい



(栞=初期詩篇〔ソナチネ/拾遺/増殖する亡骸の関係/きのいき/12月の病い〕、著者解題)



--ここに収めた各詩篇の原形となるテクストを書いたのは、

1982年から87年にかけてのおよそ5年間であり、

年齢で言えば17歳から22歳、

たぶん、私がもっとも詩人らしくあった頃である。

それらのテクストを、私は自室でこっそりと書き、長い間隠し持っていた。

『ロング・リリイフ』のような詩集を私は二度と作ることはできないし、

ここに収めたような詩を書くこともできない。

多くの処女詩集がそうであるように、これは一回きりの跳躍である。

ただし私は、これまでの詩集でも一回きりの跳躍を試みたつもりである。

叶うことならば処女詩集だけを作り続けたい。

私は詩人の成熟など全く信じていない。

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