戦後,第一次捜査権が負託された警察捜査機関は,犯罪に関わる科学的体系知識ならびに科学技術を導入した客観的・合理的な捜査活動の推進を実践してきた。近年,精密司法の徹底と裁判員制度の実施に伴い,犯罪と犯罪者への対応に新たなる視点からの科学的手法に基づく犯罪現象の究明が一層指向されなければならないこととなっている。
本書は,こうした犯罪および犯罪者への理解と解釈について,捜査・取調・虚偽自白・無罪判決といった犯罪捜査活動の変遷を実証的に考証したものである。
犯罪捜査科学の成り立ちにはじまり,犯罪捜査に欠かせない法医学の発展について,これまでの歴史を辿り,写真,血液型,筆跡,DNAなど個人を識別する技術の発展を中心に犯罪科学の歩みを解説する。続く各章では,中世からの取調方法の変遷と現代における各方法の比較とその運用の実際が詳述され,虚偽自白についてもその客観的真実性を判断することの重要性が示される。最後に刑事裁判・無罪判決・再審について,多数の事例を通して問題点が述べられた上で,精密な科学的捜査の必要性が説かれる。
裁判官・検察官・弁護士をはじめとして,犯罪捜査の研究教育に携わる法律の専門家,捜査活動に従事する実務家,さらにはこれらの活動への参画を意図している篤学の士に向けた実践的基盤となる一冊である。
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