今後わずか数年のうちに、私たちは21世紀の最初の20年が「製品の終わり」の時代であったと認識するだろう。モノというハードウェアはソフトウェアの入れ物となり、つながる機能を持ち、ネットを介して「新たな価値」を生み出す。進化したデジタル技術が切り開く新たな世界では、消費者は単に製品を購入するのではなく、ハードウェアとそれに付随するデジタルサービスによってもたらされる「アウトカム(成果)」を求めるようになる──。
すでに始まったデジタル化がもたらす製造業の破壊的変化に対応できない企業は、この先、確実に衰退していくだろう。IIoT、プラットフォーム、エコシステム、コネクテッド・スマートプロダクト、AI、コボット、XaaS、コグニティブ・コンピューティング、ビッグデータ……。製造業は生き残りをかけて、これらの新しい仕組みやデジタルテクノロジーを経営に取り入れていかなければならない。しかし、どこからどう手をつけていけばよいのだろうか?
本書は、製造業のデジタル化が「なぜ」起こるかという論点だけでなく、類書では見逃されがちな、個々の企業が「どのように」デジタル化を進めるべきかに重点を置く。豊富な具体事例や事業シミュレーションをもとに、製造業のデジタル化のステップを細かく検討して、さまざなまデジタル技術を最大限に活用する方法を実践的に解説する。
さらに、日本語版向けに、第11章「インダストリーX・0の世界観と日本企業への提言」を収載し、日本企業の実情に合ったデジタル化戦略を解説する。
「インダストリーX.0(エックス・ポイント・ゼロ)」とは?
産官学が連携し推進するドイツの「インダストリー4・0」、米国でGEを中心として進む「インダストリアル・インターネット・コンソーシアム(IIC)」、中国が2016年からその動きを本格化させている「メードイン・チャイナ2025」などの取り組みは、デジタル化がもたらす破壊的な変化をいち早く捉え、社会的価値に変換することを意図している。「インダストリーX.0」というコンセプトは、その動きすべてを包含する。テクノロジーは目まぐるしく変化し、「インダストリー4.0」はすぐに5.0、6.0になり、その後もカウントは続いていく。こうした破壊的変化に対処するため先々を見通した道しるべとして、本書では「インダストリーX.0」という独自のコンセプトを提唱する。
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