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古典的芸術家の血をうけて生まれた泉鏡花は、若くしていった美しい母への慕情のたゆたいの中で、作家としての詩魂を磨いていった。
明治・大正・昭和を通じて、鏡花ほど日本女性の美しさを文学的に結晶させた作家は他にはあるまい。それは谷崎潤一郎の享楽主義とも、川端康成の虚無主義とも違う。人間界に存在する善なるもの、美なるものの象徴として女性を描こうとするロマンチシズムが、流れるような才筆による文体とともに見事に開花したものにほかならない。
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