今から40年前,教育総合雑誌『ひと』に,ひとつの授業の記録が掲載されました。──理科の授業に四苦八苦する〈理科オンチ教師〉,しかし,そんな理科オンチ教師が行う授業にもかかわらず,子どもたちは目を輝かせ,クラスにはイキイキと討論が生まれ,家庭の保護者を巻き込んだ理科好きが生まれてしまう,なんとも不思議な記録です。
「これまでの教育に落伍した理科オンチの先生方が楽しくてはじめてわかったような事柄は,子どもたちの認識にうまく合った教え方をすることができるのではないかと思うのです。そういう立場で,私どもは科学教育を作り直そうと考えているわけです」とは板倉聖宣さん。授業の成功のカギは,優等生ではない理科オンチならではの,〈楽しくてはじめてわかった感動〉にあるのかもしれません。
本書には,板倉聖宣さんが「理科オンチのすばらしさ」について語った講演記録「理科オンチ教師のための科学入門教育」と,堀江晴美さんの若き日の授業記録「理科オンチ教師のたのしい授業」,そして現在《電池と回路》の名称で知られている授業書の前身《まめ電きゅうと回ろ》(1972年版)を収録しました。
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