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資本主義から自然主義へ
「クーデタから現在に至るまでの第二帝政全体を研究する。さまざまな人物類型をつうじて現代社会を、極悪人と英雄たちを描く。事実と感情をとおしてひとつの時代全体を描き、その時代の習俗と事件のあらゆる細部を語る」
のちに「自然主義文学の領袖」と呼ばれることになるエミール・ゾラは1869年、全20巻に及ぶ『ルーゴン=マッカール叢書』の構想ノートにこう記した。
この叢書は、「バルザックがルイ=フィリップの治世に関して行なったことを、より体系的に第二帝政期に関して行なう」という壮大な構想の下に執筆されたが、私小説批判やマルクス主義の影響が強かった近代日本では長らく関心が『居酒屋』と『ナナ』に限定されてきた。
本書は『革命と反動の図像学』(白水社)に続く、近代フランスにおける反動の動向を探る試みである。反動の時代は明るかったのか、それとも暗かったのか? 前著で残された重い問いの回答は、まさに『ルーゴン=マッカール叢書』の中に見出されるだろう。
百貨店、炭鉱、そして近代市場。資本主義が立ち上がってくる近代フランスを支配していたものは何か? 自然主義文学と欲望の力学の鮮やかな交錯!
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