世界における索引と徴候 1987ー1991
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明仁天皇は、「ありがたみ」を求める人には影の薄い天皇に見えるかもしれないが、それは明仁天皇のほうで願い下げにしたい「ひいきの引き倒し」である。実際には強い意見の人man of strong opinionであり、しかも自己の影響力と、さらに重要なことに、この特性と限界とを自覚し、するどい質問の形で自己の見解を表明すると明言し、その指向するところ、社会の主流に対して、その「副作用」を警告し、これを滅殺することを自己の使命と規定しておられると思う。実際、発展developmentに生存survivalより高い優先順位を置いてきた戦後の日本に対して、機会あるごとに牽制球を投げ、また、戦争の後遺症を癒す努力を自己に課しておられると私は思う。
(「「昭和」を送る」 1989)
「死なないためにだ。俺は、死なないためにやっているのだ。芸術?そんなのんきなものじゃない」。私は、私の患者たちが描く、時として哀切な美しい画を思った。治癒するとみな平凡な画になる。しかし、才能が涸渇するのではない、必要がなくなるのだ。私の患者たちも「死なないために」やっているのだ。名古屋弁でいえば「必死こいて」――。
(「荒川修作との一夜」 1990)
第3巻には、多様な分野をテーマに精神科以外の読者を獲得していた時期の文章、長短26編を収録。
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