武甲山未来の子供たちへ

武甲山未来の子供たちへ

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出版社
キラジェンヌ
著者名
笹久保伸
価格
5,500円(本体5,000円+税)
発行年月
2017年6月
判型
A3
ISBN
9784906913640

埼玉県秩父市と横瀬町の境界に武甲山という山がある。
秩父と言う地域は『秩父事件』『観音霊場』『秩父夜祭』『平賀源内による鉱山開発』などで知られるように、
ある種独特な世界観・空気感を持つ場所である。
霊場、祭りの歴史からわかるように秩父盆地は四方山に囲まれた信仰深い場所で、
武甲山は歴史的にそれらの信仰軸を担う存在・神体山であった。
その秩父の神の山「武甲山」は経済的理由によって鉱山採掘が進められその姿を大きく変貌させ、
今やあまりにもあからさまな環境破壊の姿を我々に晒している。

かつてその武甲山を記録した清水武甲(1913-1995)という写真家がいた。
清水武甲による武甲山写真集の発売から今年で41年。
ここに新たに現在の武甲山を写した「武甲山写真集」が発売される。

撮影したのは秩父の笹久保伸。
笹久保伸は音楽家として世界各地で活動を展開し秩父に戻り、
自身のアイデンティティにフォーカスするアート運動「秩父前衛派」を展開している。
その活動は独自の秩父研究からアートへのアウトプットで、
表現方法は音楽、映画、美術、写真、文筆、講演、など多岐に渡る。
笹久保伸は武甲山の麓の町、秩父郡横瀬町で育った。
それはまさに日々破壊されゆく武甲山を見ながら育ったアーティストと言える。

秩父は、経済・産業という名の元に地元民が故郷の山の破壊を我慢し黙認してきた歴史があり、
武甲山の破壊について語るのは今でもタブーであると言える。
目の前で故郷の心の山が爆破され無残に破壊されてゆく虚しさ、痛み、悲しみ、そして怒り。
武甲山の放つ絶望の光に導かれ秩父前衛派は日々山に登り孤独な作品制作を続けている。
この写真集は秩父のアーティストが、破壊されゆく秩父の心の山を写した写真集。
何より、これは秩父魂で撮ったアート写真集に他ならない。

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