近年,エネルギー問題,環境問題への懸念から,再生可能エネルギー,なかでも資源量の大きい太陽エネルギーの利用への関心が高まっている。本書で取り上げる「エネルギー変換型光触媒」とは,光のエネルギーを化学エネルギーに変換するための光触媒であり,人工光合成(Artificial photosynthesis)型光触媒とも呼ばれる。太陽エネルギーを化学エネルギーに直接変換して利用することは,これまで植物による光合成でしか成し得なかったものであるが,人工的な化学プロセスで効率よく行うことができれば,将来の人類が必要とするエネルギーを支える大きな可能性をもつ。
固体光触媒は半導体材料からなり,その科学技術は触媒化学のみならず,固体物理,半導体物性,電気化学など広い学術分野にまたがる。本書ではエネルギー変換型の固体光触媒について,難解な式や理論には極力踏み込まずに,その歴史や基本的概念から先端の研究開発事例までをまとめている。
第1章では光触媒の概要,第2章では物理化学的な原理,第3章では半導体光触媒の特性の評価指針,第4章では実際に用いられる酸化物,窒化物,硫化物などの具体的な半導体材料群や光触媒反応で重要な役割を果たす助触媒の代表例を取り上げる。最後に第5章では光触媒反応を電気化学的,速度論的観点から具体例を解説する。
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